香月泰男のシベリア・シリーズ 

山口県立美術館開館45周年記念
没後50年 香月泰男のシベリア・シリーズ 
特別協賛 医療法人 生山会 斎木病院

この度、ご縁をいただき、山口県立美術館で開催されるシベリア・シリーズに協賛させていただくことになりました。

香月泰男は生前、山口県民 誰しもが芸術と身近に触れあえることができる美術館が必要であると萩焼陶芸家の方々と当時の山口県知事のもとへ足繁く通い、県立美術館の設立を強く要望したそうです。

そして、第一回 日本芸術大賞を受賞したシベリア・シリーズの県への寄贈が、山口県立美術館設立の大きな契機になったとうかがっています。

「私のシベリヤ」という、シベリア抑留体験記が綴られた一冊の本があります。ご家族からお借りした、その本の中の一節に、目が止まりました。

「惨めさと労苦の日々の中にも、一瞬嘆声を発したくなるような美しさを何度かみた。収容所の凍りついた窓ガラスの霜の結晶。森の伐採場への道筋でふとみつけたシャクヤクの実が花のようにくだけ散り種子をとばしているさま。雪空にとんでいた二羽のカラスの姿も忘れられない。山の稜線をころがるように沈んでいった赤い小さな太陽も息をのむほど美しかった」

香月は収容者としてではなく、絵描きとしてそこにいた。そう思いました。過酷な体験も絵描きとして糧にしたからこそ、シベリアから帰ってこられたのではないか。

当院の南向きの壁に、香月の作品が大きく描かれており、当院を訪れる患者さまやスタッフをあたたかく包んでくれています。

今回の協賛は、細やかな恩返しになればとも思っております。

これからも皆さまから愛される作品、そして美術館であり続けてほしいと願っております。

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